あの騒動をネタに【二重価格表示】について紹介してみる
今回のお題は【二重価格表示】です。
「ん?この言葉、つい最近耳にしたなー」とお思いの方も多いのでは?
2013年のプロ野球で東北楽イーグルスが日本一になった際、インターネットショッピングモールの「楽天市場」で開催された「日本一大セール」で、商品の元値を引き上げて、いかにも大幅値下げをしているかのように見せかけていた企業がいたこと発覚し、問題になりましたよね。
このニュースで頻繁に「不当な二重価格表示が~」というフレーズで報道されていたため、「二重価格表示って悪いことなんだ!」って認識される方もいらっしゃると思います。
二重価格表示はこの一件もあってか、ネガティブなレッテルを貼られがちですが、実は二重価格表示そのものは悪いものではないんです。
そもそも、二重価格表示の定義としては、「商品やサービスの価格の安さを強調するために、値引き前の価格と値引き後の価格を両方挙げて表示されているもの」のことを言います。
例えば、皆さんがスーパーに買い物に行ったとき、「○○産和牛ステーキ肉 通常1000円のところ本日限り500円!」なんてPOPがあったら、つい「あ、安い!今日の晩ご飯ステーキにしよっかな」と思っちゃいません?このように、二重価格表示をすることによって、お買い得感を醸し出し、消費者の購買意欲を刺激することができます。なので、企業の販売促進の手段として、二重価格表示自体に問題はないんです。
で・す・が!
表示されている値引き前の価格で販売されていた事実がない場合、二重価格表示によって実際より著しく有利な取引と消費者に誤認させることになってしまい、それは「景品表示法違反」という法律違反になってしまうんです。先にあげた楽天の日本一セールがその象徴的な例ですね。
悪いのは「景品表示法違反」であって、「二重価格表示」ではないということ。どうぞご理解くださいな。とは言え、消費者としては「二つも価格が表示してあると紛らわしいなぁ」って思っちゃうこともあるので、誤解させない表記の仕方を、我々広告マンも提案していかなければならないなと思います。
せっかくなので、二重価格表示の沿革をちょこっとだけ解説します。
公正取引委員会は、1969年に、比較対照に使える価格は「最近相当期間、その価格で販売した実績が必要」という運用基準を公表し、そして80年には「相当期間」とは「耐久消費財は3ヶ月、季節商品は1ヶ月とする」という解釈を加えていました。
しかし、商品のライフサイクルが短くなり、価格表示の形態も多様化している現代に合わせて、2000年6月に運用基準を改定し、セール開始前8週間のうち、4週間以上の販売実績があれば二重価格表示は可能、8週間より短い場合でも、期間の半分以上の販売実績があれば可能としました。
ちなみに、スーパーの生鮮食品の売れ残りを防ぐタイムサービスのような場合には、同一商品の価格が目の前で変化するので、問題なく二重価格表示ができるんです。
この度の増税に伴い、消費税転嫁対策特別措置法が平成 25 年 10 月 1 日から施行され、再度二重価格表示の仕方の問題が浮上してきたんですね。
なお、これ以上の説明は法律的な解釈が必要なので、消費者庁様にバトンタッチします…。消費税転嫁対策特別措置法の詳しいことは消費者庁のホームページより、