こんにちは
3月18日のドコモ公式発表に先駆けて富士通の公式サイトにて
5G対応スマートフォンが公開されていましたので紹介します。
型番 5G F-51A
(ミスリークだったようで、3月16日現在は閲覧不可)
もともとQualcomm(クアルコム)社が最新のフラッグシップSoc
「Snapdragon(スナップドラゴン)865」を搭載するスマートフォンの
リストを公開したことからその存在は知られていました。
(Snapdragonは世界中のスマートフォンに使用される、
シェアNo1のプロセッサーです。)
そのリストから抜粋します。
Black Shark 3
FCNT arrows 5G
iQOO 3
Legion Gaming Phone
Nubia Red Magic 5G
OPPO Find X2
realme X50 Pro
Redmi K30 Pro
ROG Phone 3
Samsung Galaxy S20, S20+, and S20 Ultra
Sharp AQUOS R5G
Sony Xperia 1 II
vivo APEX 2020 Concept Phone
Xiaomi Mi 10 and Mi 10 Pro
ZenFone 7
ZTE Axon 10s Pro
世界各国の名だたるメーカーが並んでいますが、
目新しいのは中国のPCメーカーLenovo(レノボ)の
ゲーミングPCブランド「LEGION」のLegion Gaming Phoneぐらい…。
かと思いきや、この中で最も目を引いたのは、
FCNT arrows 5G です。
FCNTは富⼠通コネクテッドテクノロジーズ株式会社の略。
現在は日系の投資ファンド、ポラリス・キャピタルグループの傘下に入っています。
世界的なメーカーが並ぶこのリストに、富士通…。
日本という極東のイチ地域でしか販売していない富士通は
場違い感が否めない所ではありますが、
もともと富士通は「全部入りのハイスペック」が売り文句で、
スペックシート上では最強クラスの端末を数多く製造していました。
ただ、不具合や発熱といった障害により
そのスペックシートから期待される性能を発揮することが難しかったため
批判にさらされた経緯があります。
初期の富士通製スマートフォンはプロセッサーに
TI(テキサスインスツルメンツ)社の「OMAP(オーマップ)」を採用しており、
その後、GPU性能に優れたNVIDIA(エヌヴィディア)社の「Tegra(テグラ)」シリーズが搭載された経緯があります。
この「Tegra」プロセッサーは上記の「Snapdragon」シリーズに匹敵する性能を持ってはいたのですが、発熱に問題があることが囁かれていました。
また、富士通・ドコモ・NTT・富士通セミコンダクターからなる日の丸連合「アクセスネットワークテクノロジー株式会社」の通信モジュール「COSMOS」や「SAKURA」といったチップを「Tegra」に組み合わせていましたが、この相性の問題があったとも言われています。
これら使用パーツの選定において、発熱問題が発生したのではと思われます。
この「Tegra」のチューニングに苦心した富士通は、
同じくモバイル端末にて失速していた東芝と合流した事で
「Snapdragon」搭載のノウハウを確立し、中期の端末はかなり高い評価を得ています。
実際、「Snapdragon800」を搭載した「ARROWS NX F-01F」系列を
使用していた事がありますが、非常に満足度の高い端末でした。
その後、しばらく順調にスペックアップした端末をリリースしていましたが、
「Snapdragon810」を搭載した「ARROWS NX F-04G」にて発熱問題がぶり返します。
「Snapdragon810」は発熱による問題がリリース前からリークされていましたが、
このSocを搭載した機種は、発熱によるパフォーマンスの低下などで評判を落としているものが多々あります。
これは他社も同様でしたが、富士通としては先の「Tegra」と同じ轍を踏んでしまった感がありました。
この発熱による不具合の評判を払しょくすることができず、
「富士通ARROWS」と言えば「ホッカイロ端末」という不名誉なイメージが定着してしまいました。
この後、ハイスペックを追求する姿勢から使いやすさ志向へと変わり
ブランド名も「ARROWS」から小文字の「arrows」へと変化しました。
ハイスペック好きな私から見ると残念でしたが、
最近はミドルスペックや「らくらくスマホ」を中心に活躍の場を移していました。
インタビュー記事などではフラッグシップとなるハイエンド帯の端末も作りたいという話は出ていましたが、投資ファンドのポラリスへと移譲されてからは、もう無いのかな…と思っていました。
そんな富士通が5Gのスタートアップに合わせて、
ハイエンド端末を開発しているという情報が
上記のQualcommのリストから思いがけず公開されたのでした。
苦難を乗り越えてきた富士通のスマートフォン事業、
期待しない方が無理というものです。
その全容が富士通の公式サイトに掲載されていたので紹介いたします。
(公式発表されていないので画像は控えます。)
OSは最新のAndroid 10。
Socには文頭にて紹介した最新最速のSnapdragon 865を搭載。
メモリも最新規格のLPDDR5規格で必要十分な8GB。
ストレージは128GB。
(ただ、最新規格であるUFS3.0または3.1の記載が無いのが疑問。)
追記:すみません。UFS3.0の記載がありました。
外観は今年のトレンドに沿ったデザイン。
前面デザインは、Samsung Galaxyや最近の中華スマホに似た
左右湾曲エッジのディスプレイにパンチホールを備えたベゼルレスタイプ。
(穴あきディスプレイはやめて欲しいのですが、これも今年のトレンド)
画面解像度は他社と比較しても高めの3Kクラス有機EL。
(4KクラスのXperia 1 IIは除きます)
背面はHuawei mate20に似て、
中央上部にスクエア型のカメラモジュールを搭載。
本体カラーは、これまた中華スマホで好まれている青色がメインカラーのようです。
他のカラーがあるかは不明です(シルバーもあり?)。
ただ、背面には大きく「docomo >>5G」のロゴが目立ちます。
LTEサービス当初にも、「Xi(クロッシィ)」のロゴが刻印されていたように
ドコモ向けの5G機には、このロゴが刻まれてしまうのでしょう…。
他社との差別化では超高速帯であるミリ波に対応。
他社が広範囲用のSub6のみに対応することが多い所を突いてきました。
5G設備が整った一部の地域では、アップデートにて他機種を上回る
超高速通信が可能となる予定です。
(「日本メーカーで唯一ミリ波を搭載」とありますが、
「Xperia PRO」もミリ波に対応します。一般向けでもドコモでもないので除外?
また、ドコモから発表される予定のGalaxy S20+もミリ波に対応すると思われますが、
日本メーカーではないのでこちらも除外。)
生体認証は超音波式の画面内指紋認証。
背面カメラはトリプルカメラ構成。
メイン 4800万画素
超広角 1630万画素
3倍望遠 800万画素
インカメラは3200万画素
ハイエンドとしては標準的な構成ですが、
ズームを担当するカメラが3倍相当なのは特徴的。
ただ、近年のハイエンド機種のカメラ性能の成長度合が高い為、
ミドルスペックを中心にしてきた富士通では追い付けけないのでは?
という危惧はあります。
そのためか、カメラのソフトウェアには実績のあるAdobe Photoshop ExpressのAI補正技術が搭載されています。
(一応、富士通グループの映像エンジンには「Milbeaut(ミルビュー)」という世界のカメラで使用されている技術があり、その技術を応用した「GRANVU(グランビュー)」という映像エンジンが富士通のスマートフォンには搭載されています。)
富士通の特徴である「Made in Japan」の表記もあるので、
兵庫県の工場で製造されていると思われます。
(国内工場でない arrows U SoftBank は「日本メーカー製」と表記して、
あやふやにしていたこともあります。)
昨今、性能比較に使用されるゲーミング機能にも手が回っています。
FASTフィンガーランチャー、FAST Appドライブで高速起動が可能との事。
富士通の鬼門である発熱にも対応策が講じられており、
ベイパーチャンバー(放熱機構)を備えています。
富士通は2015年くらいから、独自に薄型冷却システムを開発しており、
その成果を発揮して爆熱スマホのイメージを払しょくすることを期待しています。
今回の arrows 5Gは久々のハイエンドという事で
世界最高スペックの開発が出来る事を証明するものになっていると思います。
ただ、デザイン等は昨今の潮流を反映してはいますが、
富士通らしい独自のものが見当たりません。
また、全部入りフルスペックというにはイヤホンジャックの非搭載など、
削られた機能も多い…。
下記に代表される昔の富士通の様な尖った世界初の機能を
是非搭載して欲しいと思います。
今では当然となるほど広まった指紋認証や虹彩認証。
通常機種の中では世界初の防水対応。
iPhoneの3Dタッチに先駆けた感圧タッチ。
高速近距離通信 TransferJet搭載。
家のレコーダーと連携可能なDTCP+やSeeQVault対応。
また、富士通の独自機能も使いやすいものが多かった…。
パスワードを覚える必要がなくなる「パーソナルノート」
指紋認証の追加機能「エクスライダー」
大きな画面を片手でも使いやすくする「スライドディスプレイ」
画面の縦横を簡単に戻せる「戻ってシェイク」
どの状態でもスワイプで他の機能にアクセスできる「スライドインランチャー」
コピーできない画面の文字でもコピーする「なぞってコピー」
Bluetoothの無い車に音声を飛ばせる「FMトランスミッター」
接続不要なワンセグ、フルセグ用アンテナ内蔵
MILスペックの高い耐久性能
以上、色々と文句も書いてしまいましたが、期待できるスペックだと思いますし
富士通がハイエンド端末に戻ってきてくれたのは素直にうれしいです。
ただ、この発表がミスリークによるものだというのはちょっと頂けませんかね?
(ファンにとっては逆に嬉しいものですが。)
とにかく、富士通は出した。
あとは5G機種を出すと明言した京セラと
捲土重来のHTCにも期待しています。